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最終回 「私キレイ?」 女は男に問うた 「さあね、そのでかいマスクのせいでなんとも言えないな つか、顔のこと聞きたいんなら外すのが道理ってもんじゃねえのか?」 飄々とした態度で男は答える ――――まるでこの後起こることが全て分かっているかのように 眉間に青筋を立て、女はマスクを毟り取る 「これでも・・・キレイかー!!」 その女の口は耳まで裂けていた しかし、男は少しだけ困った顔をしながらこういった 「ワオ、こりゃビックリの不細工面だな 下手に顔弄ろうとするからそんな事になるんだぜ?」 「・・・貴様ァッ!!」 鎌が振り下ろされる 口を裂くのではなく、殺意に満ちた一閃 口裂け女が勝利を確信した――――刹那 ガキィンッ!! 予想したものとは違う手ごたえ 鎌は堅牢な何か受け止められていた 男の手には――――否、手があった場所からは巨大な赤いものが生えている 巨大な、蟹の鋏 愕然とした女の肩にムチのように飛来した何かが食らいついた 「ぐうっ!?」 海のギャング、ウツボである ウツボは体を捻り、女の腕を引きちぎる 「わ…私の腕がああああああああ!!!??」 見ればウツボは男の肩からその痩身を伸ばしている 「お前は・・・お前は一体・・・!?」 「うるせエぞ、ドブス」 続けて男の腹から巨大な顎が伸びる――――鮫だ 「お前は魚の餌だ」 放たれた海の王者は貪欲に女を噛み砕き、飲み込んだ 「けっ・・・日本を代表する都市伝説だが、こんなもんかい」 「国民的アニメには、叶わなかったみたいだな」 「さ~て、来週の都市伝説は?」 都市伝説名【サザエさん最終回】 <能力>体を自由に海産物に変化させることが出来る 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
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王隠堂ぼたんには悩みがある。 二、三日前から変な電話がかかってくるのだ。 prrrrrr prrrrrr prrrrr 「はい、もしもし」 「私メリーさん、今」ガチャン これだ。 意味も意図も分からない悪戯電話。夜中にもかかってきたため、ぼたんは寝不足である。 それ自体は携帯電話の電源を切ることで解決したのだが、電源を入れればすぐに携帯が鳴りだす。 これでは友達と連絡もとれない。 prrrrrr prrrrrr prrrrr 「……はい、もしもし」 何度目かの着信にぼたんはうんざりしながら、携帯を耳にあてる。 ぼたんは、そろそろきっぱりと言ってやらなければなるまい、と考えていた。 「私メリーさん、今あなたの後ろn」 「貴女ね、迷惑って言葉知ってます?」 「えっ」 「昼も夜も電話してきて、こっちにも都合があるんですよ?だいたいこの電話番号どこで知ったんですか?ストーカーですか?警察呼びますよ? 貴女、声からしてまだ子供でしょう?電話は玩具じゃないの。こんな事したら、お母さんやお父さんが悲しみますよ。夜中に意味も無く起こされたら、 貴女だって嫌でしょう?だいたい」 「うっっさいわあああぁぁぁ!!」 「後ろにいるって言ってんだから振り向きなさいよ!何なのよ!?いつまでもくどくどと!!」 喚く少女の声にぼたんは渋々という風に、後ろを見る。 蜂蜜色の髪を腰まで揺らせながら、白いワンピースの少女が若干涙目になっていた。 「ハァ……。 それでですね。もし夜中に電話すr」 「まだ続くの!!?」 ぼたんの話は長いとは、彼女の家族の談である。 「だいたい、どうして貴女そんな上から目線なんですか?『うっさい』とか『後ろ向け』とか」 「あなた、私が怖くないの……?」 「何ですか、話を逸らさないでください。」 「私メリーさんよ!?都市伝説よ!?もっとこう、何かあるでしょ!?」 「貴女が都市伝説な事は今は重要ではありません。今は貴女の常識はずれな行動について話をs」 「足は、いらんかねぇ?」 「はい?」「え!?」 二人の会話に介入してきた声の方を向く。 にこやかなお婆さんが大きな風呂敷を背負いながら立っていた。 都市伝説「足売り婆」 すぐにソレだと分かったメリーさんは、すぐに逃げる準備を始めた。 (これ以上この女の長話なんか聞いてらんないわ。婆が襲ってる間におさらばよ。) 「足はいらんかね、お嬢さん達。」 「…………達?」 メリーさんも襲う対象であった。 足売り婆、足はいるかと尋ねてくる都市伝説。 いらないと答えれば足を取られ、いると答えれば、無理矢理足を付けられる。 マイナーなのか、口裂け女のべっ甲飴やポマード、赤い紙青い紙に別の色で答えるような有名な対処法が存在しない都市伝説。 「ちょっと!なんで私にも聞いてんのよ!?同じ都市伝説同士でしょう!?」 「足はいらんかね?」 「私の方を向きながら言うな!!」 「落ち着いてください、メリーさん。こういう場合は契約です。」 「そ、そうね………………て、違うわぁ!!」 「あれ?何か間違いました?」 「契約ってのは都市伝説から人間に持ち掛けるのが話のセオリーでしょ!?なんであなたから契約の話してんのよ!!」 「そういうメタな発言はちょっと……」 「知るかああああ!!」 二人は完全に足売り婆を無視していた。 「足いらんかねぇ…………」 「このままじゃ埒が明かないわ。さっさと契約して終わらせましょう。」 いろいろと諦めてメリーさんはついに投げ出した。 「じゃあ契約ですね。」「ええ、力を貸してもらうわ。」 長い言い争いの果てに、やっと二人は契約した。 「それで、貴女は何ができるの?」 「敵の後ろに瞬間移動できるわ。」 「ありきたりですね。しかも敵を目の前に能力をばらすなんて……」 「あんたが聞いたんでしょうがあぁぁぁぁ!!」 言い争いは終わっていなかったが。 「じゃあ、とりあえず足売り婆の後ろに移動してくださいな。」 「いや、なんでよ!?待ち伏せされるじゃん!!」 「能力をしゃべってしまったのは貴女の責任ですよ?」 「あれ、私のせい!?」 「ほら早く能力使ってください。ほらほら。」 「だー、もー、やけくそだー!!『私メリーさん、今足売り婆の後ろにいるの』!」 突然、メリーさんの姿が消える。ソレと同時に足売り婆は後ろを向き、 「足はいらんかね。」 瞬間移動したメリーさんの足を掴む。 「うわぁ!やっぱ待ち伏せされ」 ドガンッ 「足、いら……」ズガンッ 「貴女、押し売りって知ってます?」ズガッ「迷惑なんですよ」グリッ「いらないっていったら?」グチャッ「取る?」グチ 「日本語って難しいと思いますよ?」ズチャ「でも、それだったら」ガンッ「いるって言った時は何もしない」ニチョ「そういうものでしょう?」 「ス、ス、ススス、ストォォォォォップ!!」 「何ですか、メリーさん」 「何、やってんの……?」 「何って、」 ぼたんの手には、高校生ぐらいの女の子の手より、工具箱の中が似合いそうな、金槌。 足売り婆がメリーさんを襲う為に振り向いた瞬間、ぼたんはソレを足売り婆の頭に振り下ろした。 何度も何度も。足売り婆が死に、光となり消えるまで。 「な、なんで、そんな物持ってんのよ……」 「二、三日前からかかってくる悪戯電話にいらいらしていたから。つい♪」 「あ…………………………そう」 「あ、そうだメリーさん」 「ハ、ハイ!?」 「契約したのですから、これからよろしくお願いしますね?」 「え、えぇ、よろしく……」 自分に使われていたかもしれない金槌を見つめながら、複雑そうにメリーさんは呟いた。 終
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死の行軍 都市伝説の説明 レミング(タビネズミ)は個体数が一定以上に達すると集団で海や川に飛び込んで死ぬ、というもの。 「現象系」の都市伝説なので力を持つには人との契約が必要 契約による能力 「契約者が指定した生物と半径10km以内にいる同種族の生物を自殺させる」という能力 指定した生物が人でも契約者に効果は出ない 能力対象の生物達は24時間以内には自殺する 能力対象の人は能力が発動した時点で感情といえる感情は無くなる 制約は 指定する生物は契約者から5km以内で姿が認識できてないといけない 自殺方法は指定できない 24時間以内に拘束されているなど自殺できる状況にならなければ能力は解除される
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バールの少女 登場人物 高校生および高校教職員の皆さん 早川小塚(はやかわこず(づ)か) 辺湖市「新町」在住の少女。県立星霜高校の1年生。 夏休みに入る前、小学校から友達だった田倉巡(めーちゃん)が謎の死を遂げる。 失意の中にあった小塚は、夏休みのとある夜に『幽霊ビル』の屋上から手を振る巡を目撃。 『幽霊ビル』に捕らわれている彼女を救うべく、都市伝説の世界に関わる事になる。 秋祭り期間中に学校町へと赴き、「夢の国の黒服」に追われるなか、「バールのようなもの」を拾う。 逃避の最中に出会った首なしライダーに対し「イイヒトおーら」を感じ、 「妊娠させて」とエキセントリックな発言をかます。その真意は巡を救う為の言動であり、 本来の彼女は恥ずかしがり屋である。 ちなみに、辺湖における性教育は諸事情により色々と歪んでおり、 その教育の洗礼を受けた彼女は「両手を繋いで眼を閉じたままキスすれば妊娠する」と頑なに信じている。 「バールのようなもの」 鈍器の婉曲表現として用いられる「バールのようなもの」が、 その正体を巡る〈うわさ〉の中で都市伝説化したもの。 外見は70cm程度のバールで、鈍器としての性能はなかなかな部類である。 早川小塚と契約関係にある。 学校町にて「夢の国の黒服」から逃げる途中で拾った。 〔音叉〕 「バールのようなもの」を核とし、半径数m程度の球形の「結界」を展開する。 通常は地面等の基盤となるものに刺し込んで使用するが、 持ち歩く事により、実質上「移動する結界」となる。 使用方法次第では、対象を「結界」により圧撃する事も可能。 西野楓子(にしのかえでこ) 星霜高校1年生。早川小塚の友人で、彼女からは「カエちゃん」と呼ばれる。 辺湖市「新町」で、祖母(巴さん)と2人で住んでいる。 都市伝説と契約こそしていないものの、 祖母の契約している諸々の「伝承」と共に過ごしている為、その知識は豊富。 田倉巡(たくらめぐり) 県立星霜高校の1年生。 早川小塚とは小学校からの友達で、彼女からは「めーちゃん」と呼ばれている。 1学期の終わりの日に、『幽霊ビル』前で遺体となって発見される。 享年16 『組織』「辺境」 黒服I(くろふくあい) 『組織』所属の黒服。数年前にどういう因果か、『組織』内部の村八分、「辺境」へ移動となる。 土壇場での運の悪さと情けなさとは、『組織』内部で群を抜いている。 本人にそのつもりがなくても、周囲には奇行に及んでいるようにしか見えない。 『組織』「本部」に出向した時の「邪悪ロリ同人誌収集のご協力」を声高に絶叫する行為は、 彼の評判を墜落させる事に拍車を掛けている。 「ターボじじい」 黒服Iと契約関係にある「お呪い」は、現象型のようである。 〔加速〕 同僚曰く「一応、物凄く速い」らしい。弱体化している。 〔時間認識の細分化/細分化中の加速〕 現在発動不能。 黒服M(くろふくえむ) 『組織』所属の黒服。自称「メカニック担当」。 後輩であるIの事を「へっぽこ」と呼ぶ。 契約関係にある「???」のみならず、高度な工学的技術を用いた製作物の運用に長けている。 本人は「空間情報への接触・侵入・干渉〈ハッキング〉」を得意とするようだ。 「???」 一応、外向きには「パソコンの中で感電死したゴキブリ」と説明しているが、 それは偽装能力である。 実態は、「都市伝説」から創造された「製作物」を保有しているようだ。 〔???〕 {使い勝手はお世辞にも良くない、らしい。 黒服V(くろふくう゛い) 『組織』所属の黒服。MとIの上司。 I曰く「泣く子も黙る鬼じょ、ゲッフンゲフン、美人上司ですよねぇ」。 「ラッキーストライク」 器物型都市伝説。但し、該当する煙草は自分で用意しなければならない。 Vは時折これを「幸運の一撃〈ラッキーストライク〉」と呼ぶ。 〔幸運の一撃〕 喫煙中に放った攻撃を、「確実に命中させる」。 霊体型や情報生命体型であったとしても、ダメージを与える。 その分の反動も少なからずあるようである。 「???」 {他にも、契約関係にあるものが存在するようだが……。 ページ最上部へ
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【電磁人の韻律詩37~死線~】 前回の騒動から一週間後、明日真は 「解ったよ、恋路になら何されても……」 「えっマジで!?うっひょう!」 「かかったな、性別転換ガスを喰らえ!」 「うぼぁあああああ!……私は何をしていたんだ。」 というやりとりの末、なんとか処女を奪われるピンチを脱したのであった。 しかしこのことで自らの弱さを自覚した明日は都市伝説の力を強くする為の修行を始めることにしたのである。 とまあそんな訳で 「うわっ、予想以上にでかいぞ……。」 「所長って良いとこの子だったんだ……。」 明日真は上田明久の家を訪ねていた。 とてつもなく豪華な和風建築である。 上田明久は若い頃は貿易会社の経営に精を出していて相当儲けていたという話を彼等は太宰紫から聞いていた。 「良いの?押して良いのこのインターフォン!?」 「待て恋路、下手に押したら多分守衛さん的なのが飛んできて俺たち捕まるぞ!」 「むむむ……、こうなったら忍び込むしかないね!」 「ああ!こんな立派な家なんだから忍び込まなきゃ失礼……な訳無いだろ! それこそ不審者だよ!」 「はっはっは、冗談冗談。」 明日は緊張を隠しながらインターフォンを押した。 するとすぐに大きな門が開いて中からその門に負けないほどの大男が…… ゴツン 「痛っ!また頭ぶつけた……。 待っていたぜお前ら、まあ茶でも飲みながら話しようや。 ついてきな、かみさんが今は仕事でいないからドーナツ食い放題だ。」 出てくる前に頭をぶつけた。 サムライポニーテールの大男、上田明久は秋だというのに着流しで通していた。 よく見ると法治国家たる現代日本で堂々と帯刀している。 二人は明久に案内されて客間に通される。 何故か洋風の装飾である。 二人が座ると割烹着を着た女中さんがドーナツを出してくれた。 「で、修行をしたいって話は聞いたんだけどよ。 龍之介の遺言と一緒に渡された髑髏の仮面は持ってきたか?」 「ああ、これですか?」 「そうそう、それ。遺言の内容とかは聞く気無いんだけどそれだけが心配でな。 うん、……都市伝説の気配は無し。 野生化したのか……、戦闘で死んだのか……。」 「一体これがどうしたんです?」 「いや、奴の契約していた都市伝説の【死神】の本体がこっちに入っていると踏んでいたんだが……。 最悪破壊するつもりだったが俺の杞憂だったらしいな、それは君の物だからあとは自由にしてくれ。 あいつが自分の正義を誰かに押しつける可能性も捨てきれなかったからな……。 そんなこと書かれてても気にするなよ、人を殺してまで貫く正義なんて痛いだけさ。」 明久が熱いお茶をすする。 「杏奈のやつまた熱い茶にしやがった……」 なかなか飲めないところを見るとどうやら猫舌のようだ。 「……いや、遺言の中で自分の正義を継いでくれとは言われました。 その言葉は自分にとって忘れられないっていうか、すごく大事な物です。」 「じゃあなんだ? お前も太宰と同じ事をするのかい?」 「いいや、逆です。 絶対に人は殺さない、殺すなと言われました。」 「…………気になるね。全滅主義者のあいつがそんなことをいうのか。」 「自分は悪人を殺さないと正義を貫けなかった弱い人間だったと。 どうしようもない状況はあるがせめて殺さないで済むような相手を殺す弱い人間にはならないでほしい。 自分が貫いてきた正義は全てがではないがどちらかと言えば失敗だった。 これを君が読んでいるならば私は戦って死んだのだろう。 戦って死んだと言うことはまあ正義を貫きはした訳だ。 私が死んだ後は君が私と同じように正義の味方になって、 私の方法とは違う君だけの方法で、 正義の味方として戦い続けてくれ。 みたいなことを書いてました。一文一句暗記してた訳じゃないんですけど。」 「ほう、意外だなあ。でも、それなら心配無くお前に修行をさせられる。 修行の成果を人殺しの道具にされるのは気分が悪いしな。」 「宜しくお願いします。」 「うむ、あいつの願いでもあるし……。 家の馬鹿息子を叩きのめす有力候補だし、こちらこそお願いさせてもらおう。」 この間実に三十秒。 この短い時間でに明久は五つ用意されていたドーナツを全て食い尽くしていた。 二人は明久に案内されて和風庭園に出た。 庭の中心には離れが建っていて、その周りをぐるりと池が取り囲んでいる。 「俺のダチが言うには都市伝説には様々なタイプがある。 そしてそれと同じように契約者にも様々なタイプが居る。 都市伝説はその由来と超常能力によって、契約者は契約に対する適正によってタイプが分けられる。」 「契約容量のことですか?」 「それもある、だがそれだけじゃない。 都市伝説には一つの由来から解釈次第で様々な力を引き出せる物が多い。 契約者はどの方向に都市伝説を解釈するかがとても重要なんだ。 よく容量が大きければ一人でいくつかの都市伝説と契約出来るなんて言うが……、 “解釈”という観点から見るとそれはあまり効率が良くない。 契約者のタイプは俺の区分で大まかに分けると六つ。 強化、変化、創造、操作、放射、例外、だ。 俺は放射よりの強化型……とみせかけて例外。 刀剣型都市伝説以外では契約すら成立しない。」 「そういうのって判別方法があるんですか?」 「俺の眼力……ってのは嘘で気配っつーか匂いみたいなのがある訳よ。 少年は多分強化寄りの放射系だな。 嬢ちゃんは都市伝説だからまあ関係ないか。 我が息子はガチガチの操作、操作一つに特化している故に応用範囲が広い。 自らの肉体を操作して強化の真似事。 疑似空間を操作して例外の真似事、本物の空間操作なら例外カウントなんだけどな。 操作系は放射も普通扱えるらしいが残念ながらあいつは完全特化だ。 それが使えたという報告が来たことはない。 お前らの仮想敵である以上、しっかり覚えておけ。」 明日真は興味深そうに頷いている。 恋路はふと思い出したことがあって明久に質問した。 「そういえば呪いとかってどういう系統なんですか?」 「呪いは規模にもよるが例外区分だな、呪い系の都市伝説を上手く起動できるのは例外の奴だけだ。 例外だけは本当に例外なんだ。 区分しようがないから俺も適当に呼んでいる。」 「なるほど……。」 「さて、修行を始めたいんだが良いか?」 「何時でも大丈夫です!」 「良い返事だ、まずお嬢ちゃんは奥でのんびりお茶してろ。 お前もう十分強いだろ。」 「へ?」 「そして明日真!お前は俺に刀を抜かせるまで俺と勝負し続けて貰おう。 俺が刀を抜かなさそうだったら俺から刀を奪い取っても良いけどな。 ちなみにお前だけ都市伝説の使用は有りだ。 真夜中に家に侵入して不意打ちしても良いぜ。 制限時間は今から七日間。」 「へ?」 恋路は女中さんに案内されて家の奥に連れて行かれた。 「いやあの、七日間って……。」 「さて、お前がどこまでできるのか、まずは見せて貰うぞ。 さあ構えやがれ、すぐ構えやがれ。 お前のタイプは解っても実力だけは戦わないと解らないからな! さあ来い、『元テンプル騎士団』『死線』の上田明久が相手してやる!」 明日真は上田明久の笑顔を見て確信した。 ああ、こいつ戦いたいだけだと。 そもそも一目で相手の能力が解るような眼力の持ち主が戦うまで相手の実力は解らないなんておかしいじゃないか。 明日真はなんとなく騙されたような気分で構えに応じた。 「さて、先手は貰うぞ!」 目にもとまらぬ速さで明久が踏み込んでくる。 その手に刀はない。 明日はとっさにマイクロ波を周囲に展開する。 自らの突きだした拳にわずかな熱を感じて明久は後ろに下がった。 「ふむ、能力自体はパワー・スピード共に充分だな。 生物相手に特化した攻撃ってのも中々良い選択だ。 無生物の相手をするってこと自体がめずらしいことだもんな。 良いぞ、お前の攻撃も見せてみろよ。」 「……それじゃあ行きます。」 「駄目駄目、もっと気合い入れて来い。」 「……行くぞ!」 「佳し!」 明日は両手の平を上田明久に向けてマイクロ波を撃ち込もうとする。 だが明日真がとったその予備動作のみで攻撃を予知して、明久は真横に飛んだ。 明日の撃ったマイクロ波は和風庭園の池の水温をあげただけである。 「あっ、鯉が!高かったのに!」 「わわわわごめんな……」 「嘘だよ、前もって鯉は退避させてある。」 「うわ、しまっ……!」 ゴスン 明日真は二つのことに戸惑った。 まず真横に飛んだと思っていた明久がまるでワープでもしたかのように目の前に現れたこと。 そしてそれに反応して直接マイクロ波で攻撃しようと思ったら、 右に避けるモーションで左側面に移動されたこと。 だが戸惑う時間も彼には与えられない。 上田明久の拳が既に彼を捉えていたのだから。 当たり所がわるかったらしく明日真の意識は一瞬で刈り取られた。 「おお、この程度の嘘も気付かないとは情け無い。 戦闘中は相手の言葉に惑わされないなんて基本じゃねえか。」 気絶した明日を担ぎ上げると明久は恋路達の待つ部屋に戻った。 一方その頃 恋路の居る客間の空気は冷え切っていた。 恋路をここに連れてきた女中さんがとてつもなく無口で、まったくおしゃべりが続かないのだ。 そんな時に開いたドアはそれを開けた人間が誰であれ恋路にとっては救いだった。 たとえその人間が死にかけた彼氏を担いでいたとしても。 「あ、明久さん。修行は……って。アスマが死んだ!?」 「ごめん、予想以上に弱かった。死んでないから安心してくれ。 つーかなんだこいつは? 戦闘中に相手の言うことなんて概ね嘘だろうがよ騙されるなよまったくもう。 おい杏奈ちゃん、戸棚の薬とってくれ。」 「わかったのであります。」 「喋った!?」 「アンドロイドだ。」 「明久様、冗談がすぎてらっしゃりやがりますね。 お慎みくださりやがれば幸いです。」 「ちなみにこいつ超がつくほど人見知りだから注意してね!」 「いや、そのまえに何その口癖!キャラが立つってレベルじゃないよ!」 「だからお客様の前ではあまり喋りたくなかったのであります。」 「気にするな恋路ちゃん、敬語が少しおかしいだけで根は良い子なんだ。」 「いやいやいやそういうレベルじゃないよこれ!?」 「明久様、薬とはこれでよろしゅうござりやがりますか?」 「そうそうそれだよ。カッパの塗り薬のストックはたっぷりあるし大丈夫だよな。」 明久は真の脇腹、丁度彼の拳が突き刺さった場所に薬を塗る。 すると彼の肌に残っていた青あざが一瞬で消えてしまった。 「あの……修行って何しているんですか?」 「殴り合い。」 「どう見ても一方的なフルボッコにしか見えないのですが……。」 「まあ最初の三日くらいはそうだろうな。 俺によって人体のありとあらゆる場所を破壊され尽くすに違いない。 だが、人間の身体ってのは不思議なもんでなあ。 破壊から治癒の過程の中でどんどん強くなっていく。 骨も、肉も、内臓も、全部な。 とくに強化系寄りだろこの兄ちゃん? だったら都市伝説の力を使えば使うほどに身体が本能的にそれに最適化されていく。 俺が昔殺し合った電子レンジの能力者は体内の電流を増幅させて肉体強化とかやってたし、 まあまずはそれが出来るようになるのが目標だわな。」 「成る程……、ちなみにそれって何時のことなんです?」 「30年くらい前、イスラエルだったかなぁ? どこぞの軍人だったらしいけど煩いから切った。」 「………………。」 「お、彼氏が目を覚ましたぞ?」 「あれ、ここは……?」 「目を覚ましたか少年、さあて修行の続きだ。表出な。」 「え?え?うにゃあああああ!」 上田明久に引きずられていく明日真。 都市伝説による肉体破壊と超再生の繰り返しは確かに彼を強くするだろうが…… 「トラウマものだろうなあ……。」 後の精神的な影響が恋路は心配だった。 「明久様は本当に困った方なのでいらっしゃりやがりますよ。 私は最近この家で働き始めたばかりなのでありますが、 会社の仕事を奥様に任せて自分は筋トレと道場破りとオールドファッションしかしてないのでやがりますよ。 ああ、あと…………」 「あと?」 「いや、これは女中として言う訳にはいかないことなのであります。」 「まあ言えないなら良いんですけど……。 丁寧語とかそういうの良いですよ、杏奈さんの方が年上じゃないですか。」 「いえ、杏奈は三歳です。」 「はぁ?」 「涼はアンドロイドじゃなくてヒューマノイドなのです。」 「いや、どっちも同じな気が……。」 「ヒューマノイドとおっしゃって頂きやがってくれるとありがたいのです。」 「……ごめんなさい。」 「失礼いたしました、私としたことが取り乱してしまいました。」 ぺこりと頭を下げる涼さん、割烹着の袖からマシンガンがはみ出している。 ドアの隙間からお魚咥えたどら猫を明日真を引きずったまま縮地で捕獲する明久が見える。 ああやはり上田明也が育った家だけはある。 本当に人外魔境だ。 こんな家で育てば誰でもあんな変人になるに違いないと恋路は思った。 「さーて少年!ギリギリ意識はあっただろうしさっきの話は聞いていたな!」 「マ、マジで全身破壊ですか?」 「勿論だ!お前がそれを防げるくらい強くなれば良いんだぜ?」 「無理だ……。」 「それじゃあ行ってみよう。 次は俺真っ直ぐ歩いて近づいてくるから熱くて近づけなくなるまでマイクロ波を撃ちまくれ。 次は腕折るぞ腕ー、間接も少々の事じゃ破壊されないくらい柔軟にしてやる。」 「いやあああああああああああ!!」 明日は恐慌状態でマイクロ波を撃ちまくる。 だが薄もやのようなもので明久の身体が包まれたかと思うと明久はその嵐の中を悠然と歩いてきた。 「ふむ、持続力が足りないなあ。 威力は良いとして攻撃にむらがある、やっぱ強化系だなお前。」 「く、来るなああああああああああ!」 「おいおい、お前らの事情はサンジェルマンから聞いているけど、 俺の息子を倒すならこの程度でびびってちゃ駄目だぞー。」 「助けて恋路いいいいい!」 「男なら彼女に頼るな!はいタッチ。」 「うわああああああああああ!!」 ポキッ 青空に間接やら骨やらの折れる素敵な音が響き渡った。 どうやら明日君の修行はまだまだ続きそうである。 【電磁人の韻律詩37~死線~fin】 前ページ次ページ連載 - 電子レンジで猫をチン!
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急 日もとっぷり暮れた学校町を、二人は歩いていた。 二人は学校から、そんなに遠くない場所に家があったが。ぐるぐると歩き、巡りながら話を続けていた。 歩いていた方が、考えが纏まると言った冴と。知り合いに見つかるんじゃないかと、ビクビクしていた武の心境は全くのマ逆だ。 その上、さっきからムサシが、こちらに聞こえるように文句を言い続けている。 コイツは、悪口の百科事典かよ。 「ということは、つまり。武が主人格、もとい契約者で、都市伝説はムサシの方で。ムサシは、むちゃくちゃな性格と性能を持った都市伝説なのね」 冴の問いかけに、半ば投げやりに答える。 正直、ムサシの悪口で、頭がパンクしそうだ。 「でも、何で他の都市伝説に喧嘩売りにいくのよ?」 「知らない、ムサシに聞いて」 「記憶も、共有しないの?」 「知らない、ムサシに聞いて」 「…、アンタら、私を殺そうとしたのよ?」 「"お前は、違う"って言われたんでしょ。なら、違うんじゃない?」 冴が、突然、目の前にケータイを出してくる。 差し出されたケータイの画面を見ると、テレビに繋がっていた。 「私の契約している都市伝説は、“深夜のテレビ番組”。本人達は、“怪奇チャンネル”っていっている」 「…なんで、そんなこと教えてくるの?」 「フェアじゃないでしょ。私が、教えてないのは」 冴は、ケータイをスカートのポケットにしまうと、少し躊躇いがちに続けた。 「それと、私の家系は、元は霊媒師の家系でね。陰陽師とか、そんなのよ。つい最近までは、研究もしていたわ。父の代で潰れちゃいそうだけど…」 大きな目の、はっきりした睫が下を向く。 女の人のこういう表情は、苦手だ。 自分が、この人のために何か出来ることはないかと、模索してしまう。 偽善。 そう決めつけるのは、簡単だし。単なる偽善であるなら、どんなに楽だろうか。 武は、心のもっと深い、古い記憶の中で、同じような顔をして泣いていた母親を思いだした。 「…。僕に出来ること、何か」 そう、言いかけた時だった。 ぐらり。 二人の視界が歪み、ひね曲がる。 違う。空間が歪み、何処かと繋がっていく。 「掴まって!」 冴が伸ばした手を必死に掴み、武は狼狽した。 意識の浅いところで、ムサシが叫ぶ「代われ!武!」 武は、言われるままに意識を深く沈めた。 「ここ、どこ…?」 冴は、ひどい耳鳴りで瞑った目を、ゆっくりと開ける。 まず、感覚を刺激したのはむせ返りそうな薬品の臭いと、緑色の裸電球だった。 「女、手を離すなよ」 ぶっきらぼうな台詞に横を見れば、武だったハズの人物は先程とは比べようがない、人知を越えた存在に変わっていた。 金色の髪は逆立ち、燃えるような赤い瞳が一点を見つめていた。 冴は、その目線の先を追う。 「っ…!!」 気味の悪い光景に、思わず手を強く握る。 緑色のライトに照らされた床が、水面だと言うことに気がついてからは、地獄だった。 水面に浮く、物体。物体は、四肢が生え、頭が生えていた。 思わず、首まで胃の中のものが、せり上がってくるのを感じる。 水面に漂う白い固まりは、人体だった。 「フェイクだ。幻想だ。能力者だ。怖いなら、目を塞げ。もう、少し近くで見たい」 言葉では励ましてくれてはいるが、お構いなしに手を引くムサシに、冴は嫌みたっぷりに言葉をこぼす。 「アンタ、人の死んだの見て平気なの?」 ムサシは、一瞬冴の目を見ると、水面に目線を戻した。 「アレ、死んでいるのか?」 「…。死んでいるんじゃないの?」 「そういう尺度で、ものを見ていない。これは、この空間自体が、現実じゃない。今はな」 ムサシに引きずられるように、冴は水面に近づく。 「…最悪」 溶液で満たされたプールに、人の形をした何かが無数浮いたり、沈んだりしていた。 アレが、人の死んだ後だと考えたら、本当に戻してしまいそうだった。 隣に立つムサシが、一角を指さす。 「…、アレ。俺とお前だ」 「…え」 視線の先に、ぷかぷか漂う自分達の死体があった。 一気に背筋が凍り、頭の中が真っ白になった。 「一人余計なのがいるね」 背後から声がして、振り返る。 白衣に、ゴム手袋と、長い棒を持った男が立っていた。 さっきまで、誰も居なかったのに! 「良いか。献体は一つでも多い方がいいし。バイト代もあがるかもねー!!」 白衣の男は、ゲラゲラと笑い出す。 ムサシは、笑い声にかき消されないよう声を荒げる。 「これが仕事かよ!?都市伝説から、バイト代貰えてんのか!?」 白衣の笑い声がピタリと止む。 「…そんなこと。君に関係があるのかい?」 心の底で、武が制止してくる。わかってる。今のは、地雷だった。 これが、都市伝説だと。同じ都市伝説同士、びりびりと肌で感じている。 空間を歪める力。自分の陣地を形成している力。他人を引き込む力。そして、一つの未来を現出させる力。 このタイプの能力は、出入り口を確保しないと安定して倒すことが出来ないと、経験上わかっていた。 挑発して、相手を怒らせればこの空間に閉じこめられる可能性もある。 自分だけならまだしも、足手まといがいる。 ムサシは、口を噤んだ。 運良く、白衣はさっきより大きな笑い声で笑って済ませてくれた。 「いいよいいよー!!自分の死に顔見てビビらない人は、なかなかいないからねー!!君の顔がどんな形で、死後硬直するか楽しみだー!!」 「…。ということは、まだ俺たちは死んでないんだな?」 「でも、死んじゃうから意味ないよー!!ボクのバイトは、十九時からだからねー!!」 ムサシは、白衣の後ろに浮かんだ時計を見た。十九時まで、あと三十分。 不意に握られた手の力が緩むのを感じた。冴の生体反応が薄い。手は冷たく、唇は紫に変色していた。 冴は、糸の切れた人形のように、膝を折る。 「チッ。飲まれたか、女!まだ、お前は生きているぞ!!」 ムサシは、冴の肩を抱き揺すった。 「…、そういうの見せつけられるとやだなあ。えいっ」 白衣の男が、棒を鳴らすと、歪んだ世界を抜け、元の道路に戻っていた。 「佐竹山さん!佐竹山さん!起きて!」 肩を揺する黒髪の男子に、目の前がようやくクリアになっていく。 「よかった、目が覚めて」 「…。さっきの」 「さっきのは、もう平気です。正確には、平気じゃないけど。入り口の検討はついています」 「違うの、ムサシよ…」 冴は、軽く唇を噛んだ。 「何も、言わずに勝手に出ていって…」 ふらふらと立ち上がる少女の背を見て、武にある感情が芽生えた。 それは、武の意識下でちらりと見えた小さなものだった。 武がそれを認識する時間もなく、ムサシが呼びかけてくる。 「佐竹山さん…、僕いかなきゃ」 「え…」 「一人で帰れる?家の人呼んで、向かいに来てもらいなよ」 「待って、どこいくの!?」 「フラグ回避してくる、僕らに任せてよ」 武は、ガッツポーズをしながら、冴に背を向けた。 何故だろう、振り向くことは出来なかった。 武が、学校に着いたのが18 45分。 当直の先生に忘れ物をしましたと鍵を借りたのが18 50。 「ヤバいヤバい」 武とムサシの声が重なる。 図書室まで一気にかけあがり、扉を開ける。 「限界だ、代われ武!オレなら奴のテリトリーでも戦える!」 「佐竹山さんが、いただろう!」 「居る方が悪い!!」 「もっと安全で、効果的な、解決策があるんだって!!」 「消極的で、後退的な、解決策の間違いだろ!!」 言い合いをしてる間に、本棚から一冊の文庫を抜き出す。 大江健三郎の短編集。 「さっきの、これの"死者の奢り"に似ているんだ。さっきのが、都市伝説の"死体洗いのバイト"ならネタ元。エネルギーは、コレだ!」 「説明は後にしろ!あと三分しかない!」 「ムサシ、出て!!」 武の呼びかけに、ムサシは応じる。 ムサシの目を通してみるその本は、異様な空気を漂わせていた。 その空気が、一筋の道を大気中に作って、どこかへ繋げている。 この本が噂の大本なら、この道を断てば一時的に都市伝説にエネルギーが向かわなくなる。 「間違えてねぇだろうな!?ここでバットエンドは、ごめんこうむるぞ!!」 ムサシは、ポケットからカッターナイフを取り出し、刃を向けると、筋に一文字を切った。 音もなく四散する霊道を見て、時計を確認する。 図書室に入り浸っている武曰く、ここのの時計は、五分遅れていて、正確な時間はわからないという。 仕方なくケータイを確認すると、和風な待ち受けのすみでデジタル表記が19 01を指していた。 「はぁ…」 二人のため息が重なる。 一息ついた後、武は揚々と、ムサシに呼びかける。 「ネタもととの繋がりを切ったから、コレでもうフラグ回避出来たよね」 「一時的な解決じゃ、今回は無理だな」 図書室のガラスに反射するムサシの顔は、不満げに答える。 「あの都市伝説は、意外とレベル高かった。確実に、オレとアイツが死体となって、あのプールに浮かぶという呪詛を確立している。呪術者、もとい契約者を何とかしないと、解決とは言いがたい」 武の心情がこちらにも伝わってくる。 不安と絶望。そんなところだ。 ムサシは、出しっぱなしのカッターの刃を仕舞うと、武に呼びかけた。 「安心しろ。入り口は掴んでるんだ。次に、本と都市伝説が繋がったら、こっちから乗り込んでやっから。な」 ムサシは、笑いながら一つの記憶を心に留めた。 それは、白衣の「一人余計なのがいるね」という言葉。 オレと女と、どちらが"余計"だったのか。 二回線 終
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それは、夏休みが終わるより、少し前の出来事 図書館帰りの天倉姉妹 この日は、今年の夏にしては珍しく涼しい日で ちょっと、散歩がてら遠回りして帰る事にしていた 並んで歩く二人の影が、重なり合う しばし、そうやってゆっくりと歩いていたのだが… 「…あれ……紗奈ちゃん、何か聞こえない?」 「え?……そう言えば」 紗江に言われて、耳を済ませる紗奈 ……かすかに、聞こえる 銃声のような、音が 「…銃声?」 そう 銃声のような、じゃ、ない 明らかに、銃声だった ……何か、都市伝説絡みの事件だろうか そうでなければ、こんな平和な街中で、いきなり銃声など聞こえるものか …………この街においては、時折、そんな常識など通用しない事実はさておき 都市伝説絡みの事件が起きているならば…通りがかった自分達が、何とかしなければ そう感じた姉妹は、銃声が鳴り響く方向へとかけていく 「…!紗江ちゃん、上!」 「………っ!!」 彼女らの、頭上 …そこに、銃声の主がいた たくさんの たくさんの、天使 しかも、女の子、しかも、ミニスカ それらが、手に物騒な重火器を持ち、何かを攻撃していた 攻撃されている相手は………蛾、に、見えた 人間大の大きさで、人間っぽい胴体をしているが、それは、完膚なきまでに蛾だった …モスマン、と呼ばれるアメリカの都市伝説だ それは、ひらひらと天使達の集中射撃を避けていたのだが ……っち、と 銃弾が、その羽根に掠った瞬間 蝿叩きが掠った蝿の如く、へろへろと地面へと落下していっていた ………さすが虫、中途半端にか弱い ぼとん!!と そのモスマンは、双子の前方に落下して 「落ちましたー!!」 「そのまま止めー!」 「撃っちゃえ撃っちゃえ!!」 「デストローーーーイ!!!」 きゃいきゃいきゃぴきゃぴ 見た目通りにきゃぴきゃぴしているらしい女天使達が……無邪気に、そのモスマンに、止めを刺した モスマンは、全身に銃弾を撃ちこまれて……光の粒子となって、消えていく 「やっつけたー!」 「ご主人様に褒めてもらえる~!」 「やっつけたのは私ー!」 「違う、あたしだもーん!」 きゃいきゃいきゃい 騒ぐ天使達を前に、二人は思わず、呆然としてしまう …そんな、二人に あ、と、天使達が、気付いた 「目撃者?」 「見られちゃった?見られちゃった?」 「どうしよう、どうしよう?」 「消しちゃう?消しちゃう??」 「口封じ?」 物騒な事を口にし出した天使達 紗奈は、紗江を庇うように彼女の前に立ち 紗江は、紗奈を庇うように、犬神を彼女の前に立たせる 「駄目、駄目、ご主人様に怒られちゃう」 「そんなの駄目ぇ」 「どうしよう?どうしよう??」 「…どうしたんだ、お前ら」 「「「「「「ご主人様~~~!!!」」」」」 じゃり、と 姿を現した、青年 …天使達の、契約者のようだ ミニスカ美少女の天使達が、一斉に青年に近づいていく 「見られちゃった」 「目撃されちゃいました~」 「御免なさい、御免なさい」 「どうしましょう?どうしましょう?」 「ん?………一般人か?」 「いや、どうやら、都市伝説契約者のようだな」 …もう一人 女性…否、青年が姿を現した あれ…と、紗奈は、二人に見覚えがある事に気付く そうだ 学園祭の時、姿を見かけて、ナイス妄想をさせてもらった二人だ 女性のような外見の青年の背中で、リボンで結ばれた髪がぽんぽん、と揺れている その、女性のような外見の青年が、どこか芝居がかっているように見える仕種で、優雅に一礼した 「レディ達、驚かせて申し訳ない。何分、人を害する都市伝説だったものでね。説得できなかった為、可哀想だが消えていただいていたのだよ」 「「組織」が何か忙しい分、こっちで判断して動けるからな」 …「組織」、と 天使達の契約者らしい青年が、そう、口にした 「…あなた達も、「組織」の契約者、なんですか?」 「…は?」 「…むぅ?」 紗江に問いかけられて…二人の青年が、顔を見合わせる 「むぅ。天地、どうやら君の同僚のようだが」 「知るかよ。俺、誰かと組んでの任務なんてほぼないから、他の契約者なんて、相当有名な奴じゃねぇと知らないっての」 「…むぅ……それに、あちらのレディ達。中央高校の学園祭にて、若干見覚えがあるようなないような」 「…げー……あそこの生徒か?まさか」 若干、嫌そうな表情を浮かべる、天地、と呼ばれた天使の契約者 ふむ、と女性のような外見の青年は、眼鏡を軽く押し上げつつ、姉妹に問い掛ける 「ふむ、どうやら、君達も、こちらの天地と同じく「組織」契約者のご様子。これも何かの縁だ……お茶でも、いかがかな?」 …それは、女性に誘いをかける言葉のようで しかして、そこに、下心は感じられず ………まるで 姉妹の、担当している黒服に対する不信や、不安 それから滲み出る迷いを、見抜いているかのように そこに手を差し伸べるかのように、誘いをかけてきたのだった to be … ? 前ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
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それは、エニグマ姉妹がうっかりと誘拐未遂にあってから、数日後 「…先日は、ボクの姉が大変と迷惑をかけたようで。申し訳ない」 帰宅にある診療所を訪れたその青年は、そう口にして 深々と、まるで土下座でもせん勢いで、頭を下げてきたのだった 彼が青年だとわかったのは、そのコートや服装が男物だったせいだ そうでなければ、その中性的な顔立ちや体付き、それに、髪を結ぶ真っ白なリボンのせいで、女性と間違いかねない もっとも、ドクターは彼が男性であると即座に見抜いたのだが、それはドクターだからこそわかったことであり、通常は判断が難しいだろう 「なるほど、可愛いものを見ると見境がなくなる、か……まぁ、気持ちはわからないでもないな」 「同意を得られたのをありがたいととるべきか否か。ただ、やっぱり誘拐は犯罪な訳で」 ドクターの言葉に、青年…仲介者は、表向きは眉一つ動かさず ただ、心中では複雑な気分だった 「どうにも、姉さんは都市伝説や都市伝説契約者相手だと理性のタガが外れやすい。その辺り、もう少ししっかりしてくれるとありがたいのだが…」 「……ふむ?君のお姉さんは、都市伝説や都市伝説契約者を見分ける能力でも持っているのかね?」 「姉さんも契約者だから、その関係でわかるのだろう………まぁ、契約以前から、わりとその辺りの勘は良かったが」 ある意味で、その勘が困った方向に活用されている訳で 問題の人物の弟である仲介者としては、姉をどうにかしなければ、と言う思いはない訳ではなのだが……「自分では無理だ」、ととっくの昔に諦めていて、姉の恋人にその辺りを間か背っきりだからタチが悪い 「…ところで。ケーキはお気に召さなかっただろうか?」 「え?」 「あ、その…」 …診療所の面々 彼女らの前には、ケーキが差し出されていた どれもこれも、可愛らしくデコレーションされた一人用のケーキ 仲介者が、謝罪の気持ちをこめて作ってきたものだ 彼の姉の誘拐未遂の被害者であるエニグマ姉妹達だけではなく、その関係者の分もきっちり作ってきているのが、彼らしい 「…ふむ、そうだな。いただこうか。メアリー、すまないが紅茶を淹れて来てくれないか?」 「あ、はい」 メアリーにそう言って、ドクターは自分の前に出されていたケーキに手を伸ばした フォークをいれ、一口分、口へと運び……じっくりと味わい、ふむ、と頷く 「店で出していても、充分通用するレベルだな」 「美しいレディにそう言われるのは、悪い気がしないな」 ドクターの素直な感想に…仲介者の淡白な顔に、ようやく感情らしい感情が浮かんだ ドクターは笑って、メアリーが運んできた紅茶を受け取った 仲介者は、ほっとしたように、自分が作ったケーキを食べてくれている面々を見つめている 「美味しいであります!……こちらも、一口食べて見たいであります!」 「はいはい。それじゃあ、お姉の分も一口こっちにくださいね……あぁ、ほら、口の周りにクリームをつけて」 仲介者の謝罪相手である、エニグマ姉妹も、ケーキは気に入ってくれたようだった 彼女たちの様子を、仲介者はじっと見詰めて 「…………?」 ……ふ、と その視線が…姉妹の、妹の方へと固定される 「むぐ?……どうかしましたか?」 その視線に気付いて、首をかしげる妹 そんな妹に………そっと 仲介者の細い手が、伸ばされた 「え?」 す、と頬に触れる手 その手は、かすかにひんやりと冷たさを伴っていた じっと、じっと 仲介者の色素の薄い瞳が、眼鏡越しに彼女を見つめる 「あ、あの………?」 「……………あぁ、すまない」 つい、と その指先が、彼女の頬を軽く撫でる 「君の頬にも、クリームがついていたもので」 「は、はぁ…」 な、何だったのだろう? 男性に、あぁまでも至近距離で見つめられるというものは……女性としては、なんとも、鼓動が不可抗力で早くなってしまうもので 若干、頬を赤らめてしまっている妹 「………」 それを、仲介者は静かに見つめていた (………かすか、だが………何らかの、都市伝説の影響……) …ぱらり 仲介者が傍らに置いていた「光輝の書」のページが、勝手にめくれる (…その可能性…………52%………駄目だな。彼女の体に悪影響を及ぼしているかどうかまでは、今の僕では判断できない…) 彼女から感じた、何らかの都市伝説の気配 だが、仲介者には、それが彼女にとって有益なものか、不利益をもたらすものなのか、判断はできず その点を指摘してもいいものか否か、判断に迷うのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と
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噂をすれば 都市伝説設定 設定はその9の時点のものです。 写真部 学校町西区の工業高校でひっそりと活動している。 活動内容は基本自由。コンクールに出たりもしない。 ホームページもあるらしい。 副部長 名前:服部琴葉(はっとりことは) 学校町西区の工業学校の美術科に通う高校2年生。 性格はいたって普通、人当たりはややきつい。 写真部の副部長をしている。 運動は出来るほう。 勉強は苦手。 髪は薄く茶色がかった黒、ストレートで肩の下まである。 『噂をすれば影』と契約している。 部長 長谷部映(はせべえい) 西区の工業高校の美術科に通う高校3年生。 ミステリアスな魅力のある美人。 副部長に対してはかなり傍若無人だが、他の下級生や赤の他人には意外と優しい。 写真部の部長 体力はまるでないが、なぜかスポーツは負け知らず。 髪はウェーブのかかった黒、肩口まである。 『カメラに撮られると魂が抜ける』と契約している。 ヒラ 平井容平(ひらいようへい) 建築科2年生 基本的にめんどくさがり。 割とお人よし。 勉強も運動もそこそこ。ただし要領がいい。 貧乏くじを引きがち。 都市伝説契約者 スケベ 足助透(あすけとおる) 機械科2年生。 アホの子。 スケベだが、発想が中学生レベルなのでそんなに変態ではない。 勉強ダメ。 運動はかなり出来る。 その4で『エロ本にバターを塗ると黒塗りが透ける』と契約する。 コナ 小長谷務義(こながやまさよし) 情報科1年 気弱なショタ系男子。 頭は悪くないが、発想が若干アホ。 運動も出来る。 小学校まで大阪に住んでいた。 しゃべる言葉は標準語。中学校のうちに直した。 『大阪人の体の半分は小麦粉で出来ている』と契約している。 けーちゃん 結城計子(ゆうきけいこ) 情報科1年 写真部会計 真面目ないい子 眼鏡をしたショートカット 図書委員 背が小さい 都市伝説については知っているが、今のところ契約はしていない そよ 蘇賀芳江(そがよしえ) 美術科2年 線の細い感じで和風美人のお嬢様 家は超お金持ちの名家 部の出席率は低い 成績は学年トップ 運動神経は絶望的・病弱 たまに常識が欠けている 『ペンローズの三角形』と契約している。 使い捨てキャラの方々 『ベッドの下の斧男』 都市伝説。契約者はいない。 びっくりするほど弱い。 その3でヒラに撃退されて以来、ヒラの部屋に居候している。 臼緒雄介 機械科2年 陸上部 性格悪い 一応部長のことが好きだったらしい。 足助魑 スケベの父 足助工業社長 人外クラスの怪力を持つ 豪快で、細かいことは気にしない性格。 足助衛 スケベの兄 大学1年生 弟同様運動神経がいいが、人の範囲内。 単純で熱くなりやすい。 足助福江 スケベの母 魑ほどではないが怪力の持ち主 技術を持っているので実質魑と対等 優しく、寛容な性格 ページ最上部へ